日本ではタレントの志村けんさん(1950年生まれ)が亡くなりましたが、BCGワクチン(ハンコ注射)の接種によって、コロナウイルスの発症や重症化を抑える事ができるのではないか、という両者の相関関係を分析する動きが世界で広まっています。
BCGについて、分かりやすくまとめましたのでご覧下さい。
BCGとは?
BCGとは、結核を予防するためのワクチンの名前です。
フランスの研究所で、ウシ型結核菌の実験をしていた研究者と菌の名前・Bacille de Calmette et Guérin〈カルメットとゲラン桿菌〉を略して、BCGと呼んでいます。
BCGと呼ぶ時は、菌そのものを指す事もあるようですが、主に、BCGワクチンを表す事も多いようです。
BCGワクチンについて
研究所の実験室などで、培養を何度も何度も長期間に渡り繰り返すことで、人間に対しての毒性を失わせ、免疫反応を起こさせる抗原性のみを残した結核菌が、BCGです。
BCGワクチンには、この毒性の無いBCGを、わざとヒトへ接種させることで、結核に対する免疫を獲得させようとする目的があり、毒性が無いため大部分は結核には掛かりません。
BCGの副作用
BCGワクチンを接種した時に見られる副作用としては、皮膚やリンパ節の炎症反応です。
重度の結核の発症や骨髄炎といった副作用の報告例もあるようですが、重い副作用が起こることは極めて稀のようで、BCGは副作用の小さいワクチンとして特徴があるようです。
BCG注射(ハンコ注射)は定期接種
定期接種とは、法律に基づき市町村などの自治体が主体となって接種を実施するもので、費用は基本的に公費から出ます。
BCG注射(ハンコ注射)を摂取する目安の期間は、生後5ヵ月~8ヵ月とされており、1歳未満までは定期接種の期間に当たり、公費でBCG注射を受ける事が出来ます。
1歳を超えると、公費から費用が出ない任意接種という形で、BCG注射を受けられますが、接種希望の方はまず、かかりつけ医へ相談する事が必要です。
世界のBCGワクチン接種
ニューズウィーク日本版の記事によると、日本では1949年に、BCGワクチンの予防接種が法制化されています。
志村けんさんは、ワクチン接種の法制化後の1950年生まれですが、実際に接種されていたのか、されていないのかは、確実な情報は分かっていないようです。
日本のように、現在も全国民に対してBCGワクチンの予防接種を行うことを、全例接種と呼ぶようです。
各国のワクチン接種事情
今も全例接種を行っている国 | 日本を含む157ヵ国 |
1980年代以降に全例接種が中止された国 | スペイン フランス ドイツ 英国 オーストリア オーストラリア ニュージーランド |
医療従事者などのみ選択的接種を行っている国 | アメリカ カナダ イタリア オランダ |
〈ニューズウィーク日本版より 2020年3月30日時点〉
全例接種を行っている国と、行っていない国との比較
感染者数 | 死亡者数 | |
ポルトガル (全例接種) | 6528名 | 119名 |
スペイン (1981年に全例接種中止) | 7万8797人 | 6528名 |
〈ニューズウィーク日本版より 2020年3月30日時点〉
国が隣同士のポルトガルとスペインを比較してみると、BCGワクチンの接種には、コロナウイルスの感染や重症化を抑制する効果があるのでは、と思われます。
しかし同じヨーロッパの他の国を見ると、例えばドイツは、やはりBCGワクチンの接種が1980年代に中止されていますが、他の欧州各国と比べ、コロナウイルス感染による死者数が、2020年3月末時点で、0.9%と圧倒的に低かったりします。
単純に、BCGワクチンの接種によって、コロナウイルス感染の抑制と重症化を抑えることが出来るという事は現時点では言えないため、BCGワクチンとコロナウイルスの関係性の分析について、新たな報告が待たれます。
高齢者のBCGワクチン接種【コロナウイルス対策】
もし、BCGワクチンがコロナウイルスに効果があると分かった時、BCG注射を受けていない1948年以前に生まれた高齢者に、今からでもワクチンを接種させたいと考える人や、家族の方が出てくると思います。
成人へのBCG予防接種については、結核予防の効果が認められないため、不必要とするクリニックもあります。
しかし、
定期接種時期に何らかの事情でBCG定期接種を受けられなかった場合、成人でも必要が生じた場合(例えば、大学等の入学時や病院・施設等の採用時)には、初めにツベルクリン反応検査を行なって、結果が陰性ならばBCGを接種することがあります。
公益財団法人宮城県結核予防会のHP ツベルクリン反応とBCGより
と、状況に応じた成人の予防接種に、一定の見解を示しているところもあります。
任意接種という形で、高齢の方がBCGワクチンの予防接種を受ける事が出来るのか、注射を受ける事が出来てもリスク等はないのか、詳しい事が知りたい場合は、かかりつけの医師に問い合わせされる事をオススメします。